エンペドクレスについての考え方
以上がエンペドクレスの要約である。エンペドクレスの提起で、それならばわれわれは現在世界がどの位置におかれているか等は議論の最中である。しかも、エンペドクレスの思想は現在のわれわれにとって理解しがたいものもある。それならばエンペドクレスは哲学にどのように影響を及ぼしたのだろうか。
それは、これまであったソクラテスを源流とする人間哲学を変えたということだ。これまでの哲学は人間の生き方を重視している。ソクラテスの有名な言葉では「善く生きる」というものがあるが、これが象徴的なものだろう。これに対してエンペドクレスは、パルメニデスの課題に答えようとした結果「世界がいかにあるか」に重点をおき、生き方の問題と切り離されて考えられるようになったのだ。
こういうわけで、その後の原子論者は世界のあり方についての考察を中心に行っていき、現在でも支持される原子論を主張する。すなわち、われわれの「当たり前」だと思っていることは先代が熟考してきた産物なのである。